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日本タンクターミナル協会
消防庁から講師を招き勉強会を開催
最近の危険物保安行政の動向について学ぶ

 日本タンクターミナル協会(JTTA、小幡柾夫会長)は10日、東京都中央区の交詢社で例会(勉強会)を開き、関東支部、関西支部から40人超が参加した。消防庁危険物保安室の鳥枝浩彰課長補佐が最近の危険物保安行政の動向について講演。CDI-T(ケミカル・ディストリビューション・インスチィチュートーターミナル)で日本で唯一インスペクターとして認証を得ている出水達悦氏がCDI-Tの目的や期待を荷主の視点で解説した。

 鳥枝課長補佐によると、2012年の危険物施設における火災・流出事故のうち、火災事故発生原因については、維持管理や操作にあたっての不手際など、人的要因によるものが多くを占める。また、流出事故の発生原因では、物的要因によるものが多くを占めるが、とくに腐食疲労等の経年劣化によるものが多い。

 危険物施設における火災・流出件数(地震によるものを除く)をみると、1994年と比べ危険物施設は20%減っているのに、事故件数は2倍に増加。要因別にみると、流出事故の発生要因で、物的要因のうちとくに腐食疲労等の経年劣化によるものが増加傾向にある。

 屋外タンク貯蔵所関係では、特定屋外タンク貯蔵所および準特定屋外タンク貯蔵所の新基準適合確認状況を報告。未適合率は、1万㌔㍑以上で1%、1000㌔㍑以上1万㌔㍑未満で5%であるのに対し、500㌔㍑以上1000㌔㍑未満では46%となっており、これについては適合期限である2017年3月末までに計画的かつ早期に新基準への適合確認を進めていくことが重要であるとした。

 このほか鳥枝氏は、浮屋根式屋外タンク貯蔵所の保安対策の徹底および応急措置体制の整備、特定屋外タンク貯蔵所の側板の詳細点検にかかるガイドライン、屋外貯蔵タンクの耐震安全性の確保方策等の推進、旧法屋外タンク貯蔵所の保安検査のあり方にかかる調査検討報告書、東日本大震災を踏まえた危険物施設の地震・津波のあり方にかかる検討報告書、東日本大震災を踏まえた仮貯蔵・仮取扱い等の安全確保にかかる検討報告、東日本大震災を踏まえた危険物施設の震災等対策のあり方に関する検討報告書などについて説明した。

 出水氏は、欧米の石油化学工業協会が組織、運営するNPO(非営利組織)であるCDIについて、①安全・セキュリティ・品質の向上②化学品の海上輸送と貯蔵の最適化③知見の向上と立方関係者への助言――といったCDIの目標やインスペクションの方法を説明。荷主が物流会社への期待の一つとして「CDIでの高得点」を挙げ、「CDIのスコアを比べて物流会社を選ぶこともある」と述べた。

 なお、JTTAでは例会に先立って、同日理事会を開催し、今後の基本スケジュールを決めた。7月に研修会に合わせて理事会を開催予定。

(2014/4/17カーゴニュース紙掲載)

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